シングル盤で聴く爺的名曲・迷曲:国内編③

ソウル・オブ・イースト&ウェスト

MEMPHIS TENNESSEE : WSHAKODA


ブルース・バンドで、ライヴは面白くてコミックなんだけど、演奏はしっかりしているよ、という噂を聞いて「ウシャコダ」というバンドを見に行ったのは、いつのことだったんだろう。
元気のいいチビッコのギター、人を食ったようなキャラのヴォーカル、こぶとりおっちゃんのベースなどなど、見た目のキャラに輪をかけて面白いステージングに、ニンマリ。
そんなバンドが、「一球入魂」を目論んだ、のかは知らないが、突然素晴らしいシングルを自主制作で出したのが、この「メンフィス・テネシー」であった。
'70年代のサザン・ソウルの象徴:ハイ・サウンドをしっかり表現したこの曲、爺のまわりでは驚嘆の嵐だった。
その後、メジャーからアルバムを出したりしたが、彼らのキャラはそのままだった。
ヴォーカルの藤井氏はその後、ジャンプ〜ジャイヴへ傾いて行き、素敵なアルバムも出している。
このシングル、爺的には'70年代関東ソウルの最初で最後の名盤!

やせた口笛で/ 始発電車 :上田正樹サウス・トゥ・サウス


このバンドは、例のアルバムだけか(再結成もライヴ・アルバム)と思っていたら、スタジオ録音があった。
それが、キティから出たこのシングル。
両Å面のこのシングル、ミディアム・テンポの「始発電車」(作詞:上田正樹、作曲:藤井裕、ミディアム・スローの「やせた口笛で」(作詞:上田正樹&池田淳、作曲:上田正樹)の2曲とも良い出来(歌詞のちょい臭さを除けば)で、キー坊のヴォーカルも無理なシャウトなどなく、素晴らしい出来。
このまま、スタジオ録音のアルバムが出来たなら、という儚い望みさえ抱かせてしまう。
サウス・トゥ・サウスが、ライヴのノリという一面の評価だけでなく、ちゃんとしたスタジオ録音の前に消えたのは、惜しい限りである。

聞いててや / 大上留利子


関西ソウルの歌姫は、スターキング・デリシャスのあと、ソロに転向し何枚かのアルバムを出したが、爺が聴いたことがあるのは、ファーストのみ。
正直いって、もの足りなさがあった。
しかし、このシングルに出会ったら、ノック・ダウン!!
このバラード、作詞は康珍化、作曲は鈴木サブローのプロ・コンビで、一歩間違えば陳腐な歌謡曲になるのを、大上嬢の歌が一歩手前で踏ん張って、素晴らしい曲に仕上げている。
B面の大上嬢作詞&作曲の「SWEET HOME,AGAIN」も秀曲。


やはり、良い歌とは、歌い手、作曲、作詞、編曲がバランスを取れた時、生まれる。
そのメンバーが、どこのフィールドにいるのかは関係ない。