今週の45’s ⑥ 聴く度に、しんみり

meiteizz2005-06-20

独の熊家族という重箱の隅を突っつくのが好きなレーベルから、5枚組みのCDが出ているジャック・スコット。
そんなBOXが出ているのだから、さぞかし凄い人気かと思いきや、日本では ? である。
しかし、そんなことには関係なく、爺にとっては忘れられない曲・レコードなのだ。
かって、会社の先輩にSさんという人がいた。
入社何年か経って、一緒の仕事をしたことがないS先輩と何故か親しくなっていった。
もともとS先輩は、クラシック&ジャズ・ファンだったが、何故かソウルが好きになったようで、同じ頃ソウルにのめり込んでいた爺と音楽の話をよくした記憶がある。
だが、そのきっかけが思い出せない。
そんなこんなで仲良くなったS先輩と爺は、大阪へレコード・ハンティングの旅をしたことがある。
S先輩と爺は何から何まで正反対で、S先輩は殆ど酒は飲まず、仕事もきちんとこなす真面目な人だった。(ということは、爺は・・・・。)
そんなS先輩がある日突然、「はい、欲しがっていたレコード!」と渡してくれたのが、このジャック・スコットの「クライ・クライ・クライ」。
しかも、お金はいらないよ、って。
この曲を何処で聴いて好きになったのか、それをどうしてS先輩が知っていたのか、思い出そうとしても思い出せない。
それからも職場が一緒になることは無かったが、何故か可愛がってもらって、四谷の文化放送近くの「ライヴ」や笹塚にあった「エクセロ」というソウル・スナックなどに連れて行ってもらった。
そうだ、思い出した。
今は無き笹塚の取引先で出会ったんだ、そうだ!
それから、しばらくしてS先輩は本社の仕入れ先との窓口セクションに転勤した。
そして何年か後、くも膜下出血で倒れ、一命はとり止めたが、半分痴呆症みたいになった。
取引先との付き合いで、飲めないお酒を頻繁に飲んでいたのも一因だろう。
退院後、退職し故郷の北海道に帰られた。
年賀状を送ると、乱れているが一生懸命書いたと思われる返信が来た数年後、親御さんから訃報が届いた。
何も恩返しをすることないまま、別れが来てしまった。
爺はいい加減なもので、もう命日も忘れてしまったが、このレコードを聴く度にあの頃を思い出す。
手放せないレコードである。