1977 ゴールド・ワックス・コレクション

meiteizz2005-02-13

1970年代の後半は、良質なソウル・アルバムのリリース・ラッシュであった。
今でこそ、色々なジャンルのインディーズ・レーベルが乱立しているが、当時はやっとVividとP-vineという二つのレーベルが相次いで産声を上げた頃。
この二つのレーベルがなかったら、今の日本での黒人音楽シーンは淋しいものになっていた、といっても過言ではない。
Vividは、吉祥寺に出来た輸入盤屋:芽瑠璃堂が立ち上げたもの、P-vineは雑誌「The Blues」が立ち上げたもの。
そして、1977年に遂に、Vividが、あのゴールド・ワックス・レコードの音源の国内リリースを開始したのである。
ゴールド・ワックスは、サウス・キャンプ、クインビーなどのレーベルと並んで、ディープ・ソウル・ファンの聖地であった。
それが、国内発売なのである。
あのジェイムス・カーが、スペンサー・ウィギンスが、安い値段で入手できる。
コレは大快挙!爺みたいな貧乏なファンは狂喜乱舞!、コレクター諸氏はちょっとガックリ。
そのシリーズは、ジェイムス・カーのオリジナル・アルバム2種と編集盤、スペンサー・ウィギンスとオヴェイションズの各々の単独編集盤。
それと、オムニバス・アルバム2種類が発売された。
この2枚のアルバムには、パーシー・ミレン、リリックス、O.V.ライトの「この強き愛」のオリジナル録音、後年ライターとして活躍する(ジョージ・)ジャクソン&(ダン・)グリアー、ティミー・トーマス、などなどが計28曲収録されている。
パーシー・ミレンは、ジェイムス・カーやスペンサー・ウィギンスなどに劣らないシンガーで、残された曲が少ないのが、残念である。
ゴールド・ワックスのサウンドは、'70年代のハイ・レコードほどの特徴は持っていないが、バックのクラレンス・ネルソンというギタリストのギターの音やフレーズには特徴があり、すぐ彼と分かる。
余談だが、昔、東京にピンク・フラミンゴ(だったかな?)というサザン・ソウルのバンドがあったが、そこのギターが、似た雰囲気のギターを弾いていた。
(因みに、そのギタリストは、バーバラ・リンの日本ツアーでバックを勤めていた)
これらのアルバムは、最近、英国のKentからのCD化まで、唯一無比のアルバムであった。
しかし、ジェイムス・カーのオリジナル・アルバムが2枚も米国でリリースされていたこと自体も凄いことなのに、それが日本でも正規に発売され、その上、アルバムを出せなかったスペンサー・ウィギンスなどのアルバムまで出してしまったとは、その頃の関係者のパワーには、感服せざるを得ない。
その後もVividは、良質のソウルを紹介し続けている。
また、Vividの良きライヴァルP-vineも、その後チェス・レコードの権利を獲得し、ブルースのみならず、サザン・ソウルの良質な編集盤などを発売してくれている。
そして、1978年には、遂に黒船来襲!である。
それは、また、そのうちに!