1975 メンフィス・サウンドが・・。

meiteizz2005-02-12

1975年、それまで種火くらいだった爺のソウル熱を炎までにするアルバムが発売される。
それは、キング・レコードのロンドン・レーベル(洋楽用レーベル?)から発売された「メンフィス・サウンズ・オリジナル・コレクション」と銘打った3枚のアルバム。
キング・レコードからは既に似たようなタイトルのオムニバス・アルバムが出ていたが、「オリジナル・・・」というのに並々ならぬ意欲が感じられる。
'70年代初頭から台頭してきたハイ・レコードのシングル盤オンリーのシンガー達を集めたこのシリーズ、金色、銀色、そしてピンク・ゴールド(?)のジャケットはとても目立つジャケトだった。(スキャナーでは、うまく色が表現できないので、今回は写真)
Vol.1と2は、クワイエット・エレガンス、ジョージ・ジャクソン、アン・ピープルズ、フィリップ・ミッチェル、マスカレイダースなどなど、今でこそ知名度はあるが、当時は無名に近いアーティストが収録されていた。
Vol.1はクワイエット・エレガンスの「ユー・ガット・マイ・マインド・メスド・アップ」でスタートする。
この曲は、ジェイムス・カーのあの曲のカヴァーである。
当時、ジェイムス・カーは「ソウル・ディープVol.1」の「ホールド・オン」を聴いたことがあるが、その他の曲は聴いたことがないし、「ユー・ガットー・・・」というアルバムがあるということや、云万円もするらしいとは噂に聞くが、見たこともない。
それが、後にソウルの輸入シングル盤を買うきっかけにもなる。
ハイ・レコードは、アル・グリーンのヒット曲でも有名になったが、ソウル・ファンにはハイ・リズムというスタジオ専属ミュージシャンの作り出す独特のサウンドでも、有名であった。
ハイ・リズムは、ハワード・グライムス(Dr.)、ルロイ・ホッジス(b)、チャールズ・ホッジス(Key.)、メイボン・ホッジス(G)、ジェイムス・ミッチェル(Sax)。
サウンドは、あまりタイトではなく、少し緩めで、特にドラムのスネアの音に特徴があったので、大体一発で分かるサウンドであった。
因みに、日本の「ウシャコダ」が、自主制作のシングル「メンフィス・テネシー」という名曲でこのサウンドを再現している。
このハイ・リズムのバックのおかげで、これらのアルバムはオムニバスとはいえ、意外な統一感がある。
そして、問題なのが、Vol.3!

DON BRYANT ドン・ブライアント

なのである。(ジャケットの色に注目。)
ライナーでは「幻のメンフィス・ソウル・シンガー」と紹介されているが、幻も何も、当時未だ若輩の爺が知る由もない。
ハイ・レコードでの10枚のシングルから、計14曲を収録している。
1960年代後半の曲が中心なので、先のハイ・リズムは参加しているようだが、あの独特のサウンドは完成されていないようだ。
サウンド的には、やはりR&B(アーリー・ディープ・ソウル)風である。
アップからスローまで駄作無しの内容だが、やはり聴き物は「イズ・ザット・アスキング・トゥー・マッチ」、「アイル・ゴー・クレイジー」(名曲)などのバラードである。
このアルバムの発売、世界のソウル・ファンに自慢できる快挙であった。
ドン・ブライアントは、オリジナル・アルバムとして、ソウルの有名曲のカヴァー集のアルバムがあるが、この編集盤に比べる意味はない。
その後、ハイ・レコードの国内発売権利が、キングからビクターへ移って、オムニバス・シリーズに分散して収録され、このアルバムの再発はなく、CD時代の1993年、ソニーからの発売まで待たねばならなかった。
収録曲は増え、未発表を含め21曲を収録。
 CDの再発ジャケット
そのソニーのCDも廃盤になり、今発売権利はビクターに移ったが、果たして再発されるのか・・・・・?

おまけ


シンガーとしてはリタイアし、ソング・ライターとして活躍していたドン・ブライアンが1979年、スーパー・ソウルー・ショーとして、シル・ジョンソン、アン・ピーブルズと共に来日した時のステージ写真。
左の写真の右側のギタリストは石やん、右の写真は妻:アン・ピーブルズとのデュオ風景。